冷陰極管・CCFL照明の特徴

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冷陰極管とは

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冷陰極管は、Cold Cathode Fluorescent Lamp(CCFL)と呼ばれる蛍光ランプの一種である。一般的な蛍光灯よりも管径が細く、管径2mm~4mmという小径が実現できている。冷陰極管は寿命の長いランプであり、誘導灯・液晶テレビ・看板など、電気機器の内部照明・機器用照明として利用されている。

液晶テレビやディスプレイのバックライトとしての実績が多いのが特徴である。CCFLは、製造工程によって発光色や形状を、自由に変えることが可能。

冷陰極管の特長として、調光が非常に容易で、液晶モニターのバックライトとして適した性質を持っている。冷陰極管に流れる管電流を増減させたり、点滅を繰り返して調光する方式があり、用途に応じて利用されている。

冷陰極管の発光原理

冷陰極管は、一般的な熱陰極を使用する蛍光灯と同様に「電極から電子を放出し、電子が水銀蒸気に反射して紫外線を発生させ、ガラス内面に塗布された発光体が発光して見える」という仕組みは一緒である。

一般蛍光灯に代表される熱陰極管は、電極を加熱することでエミッタからの電子放出を促するが、冷陰極管はインバータを用い、高電圧を発生させて電極から電子を放出させている。この時、高電圧を利用し、電極を加熱せずに電子の放出を促すことから、熱を用いない「冷陰極管」という名称が使用されている。

CCFLは細いガラス管の内部にアルゴン・ネオンの不活性ガス、及び水銀を充填する。CCFLの電極間に電圧を印加すると、ランプ内の電子が加速され、不活性ガスの原子や水銀原子にぶつかり合い、ガラス管内部でこれらが激しく移動する。この動きにより水銀原子の周囲にある電子が原子から離れ、陽イオンとなった原子が陰極側に引かれる。

陽イオンとなった水銀原子が陰極に接触すると、電極から電子を受け取り、陽イオンとなった水位銀原子は安定した水銀原子となるが、アルゴン原子と接触し、水銀原子はさらに不安定な軌道となる。安定状態に戻ろうとしている水銀原子は、紫外線を放出しながら戻り、ガラスの内管に塗布された蛍光物質にぶつかり、明るく光って見える。

冷陰極管の特性

冷陰極管は蛍光灯と同様に、周囲温度によって特性が大きく変化する。冷陰極管の管壁温度は70℃前後が最も高効率であり、温度が高くても低くても、効率が悪化し、輝度が低下する傾向にある。放熱の状態が悪くなる場所に冷陰極管を配置した場合、周囲温度が高くなってしまい、輝度が低下する。

冷気にさらされる空間に冷陰極管を設置した場合も同様に、輝度が低下する原因になるため、設置場所には注意が必要である。冷陰極管の製造過程で、管内部のガス圧力を高めると輝度を高くできるが、消費電力が大きくなる。

冷陰極管の発光とインバータ

冷陰極管は、50Hz~60Hzの商用交流では点灯できない。点灯させるためには高い点灯周波数が必要になるため、専用の高周波電源装置が必要である。細径の冷陰極管ほど高い周波数が必要になり、30kHz~45kHzの高周波電源を使用して、点灯させている。

冷陰極管の用途と事例・LEDとの比較

冷陰極管は、防災設備の誘導灯に広く採用されているランプである。ランプ形状が蛍光灯よりも小型に製作できるため、従来は直管蛍光灯を使用していた誘導灯が、冷陰極管を使用することでコンパクトに仕上げられるようになった。寿命も長くなるため非常に合理的である。消費電力も比較的小さく、高輝度の光を放つことができるため、誘導灯の光源として適しており、かつランニングコストを低減することが可能だったというのが大きな利点である。

しかし近年は、冷陰極管に代わり、LEDを使用した誘導灯が普及している。LEDの研究が進み、高輝度で長寿命な光源として、低コストに生産することが可能になっており、色の再現性の向上、高電圧を発生する電源部の削減など数多くのメリットを享受できるため、誘導灯設備の分野では冷陰極管を使用せず、LED光源に置き換えられるようになった。

LEDは冷陰極管に比べて省エネルギーであり、光源を置き換えることで消費電力を大きく低減できる。照明メーカーでは冷陰極管を内蔵した誘導灯を生産中止とし、LEDを使用した誘導灯のみ販売するところも出ているため、冷陰極管を使用した誘導灯の市場流通数は減少の方向にある。

従来の冷陰極管を使用したC級誘導灯は、4.5W程度の消費電力であるが、LEDを使用した誘導灯で同じ明るさを確保する場合、2W程度の消費電力まで低減できるため、ランニングコストの低減、CO2の低減などで貢献できる。冷陰極管はフィラメントを余熱・加熱せずに電子を放出して寿命が長くしているため、40,000~60,000時間という長寿命を実現しているが、LED照明は冷陰極誘導灯と同様、40,000~60,000時間という長寿命を期待できるので、置き換えによりランニングコストの増大もない。

冷陰極管と蛍光灯の比較

建築設備としての冷陰極管は、誘導灯分野で広く使用されていた。現在ではLEDに置き換えが進んでいるが、従来誘導灯は直管蛍光灯を数本収容しており、大きな電力を必要とし、かつ寿命も6,000時間程度と頻繁なランプ交換が必須となっていたが、冷陰極管は消費電力を60%以上削減でき、寿命を10倍程度まで伸ばせる。

冷陰極管と一般蛍光灯の違い

一般的な蛍光灯は、蛍光管内にエミッタが内蔵されており、通電することで加熱して電子を放出させている。対して、冷陰極管にはエミッタがなく、電極を加熱せず高電圧で電子を放出している。加熱していないことから、冷陰極という名称が付いているが、熱陰極管よりも電圧降下が大きく熱損失が大きいため、発光効率が悪くなる。

「冷陰極」という名称にはもう一つ注意点がある。発光効率の悪さが示すように、同じ電力を供給した場合、熱陰極管よりも熱エネルギーに変化してしまう分量が多くなる。冷陰極管は熱エネルギーによって陰極が熱くなり、冷陰極管を組み込む機器を制作する場合、陰極の放熱を考慮する。放熱が悪く冷陰極管が異常加熱すると、正規の寿命を確保できず、焼損の事故が発生する。

冷陰極管の電極は、一般蛍光灯よりも簡易な構造のため、ランプ外径を細くできる。寿命が蛍光灯の4倍以上長いこと、点滅性能が高い、電流が小さいため温度上昇が少ないといった利点がある。

蛍光管内部に封入されているガスは、アルゴンやネオンなど、一般蛍光灯と同様である。ガラス管内壁には蛍光体が塗布されており、これが発光するという仕組みも同様で、端部の電極仕様・点灯の仕組みだけが違っている。

照明器具としてのCCFLの可能性

冷陰極管は30年以上も以前に確立した照明技術であり、液晶ディスプレイやコピー機にも多数採用されているため、光学技術は十分に研究されている。照明としての実績と技術を生かし、冷陰極管を照明器具として利用する動きがある。

冷陰極管は寿命が長く、演色性が高い、排熱が少ないといった特徴があり、かつ寿命がLED照明のように長いため、交換を必要としない超長寿命照明器具として利用できる。従来使用されていたFLやFLRの旧式の蛍光灯と比較すると、省エネルギー効果が高く、20~30%の省エネルギーを図る事が可能。かつ、寿命が長いため、ランプ交換の手間がない。

冷陰極管は径を小さく、細く製作でき、照明器具を小さく製作することが可能なので、小型かつ高輝度なベース照明を製作できるとして期待された。色を変える、屈曲させられるというのも、照明器具として大きなアドバンテージとなる。

冷陰極管による減価償却は困難

しかし、広く普及している高効率インバーターを用いたHf蛍光灯と比較した場合、CCFLを使用した照明器具は確かに寿命が長いが、灯具やランプの単価が高いため、減価償却の観点からは効果がない。

Hf蛍光灯を既に使用している事業所であれば、同一台数を置き換えた場合に照度が低下してしまうことがあり、またHf蛍光灯は高効率化が進んでおり省エネルギー効果を期待できない。

冷陰極管に優位性がある寿命性能は、Hf蛍光灯であっても16,000~24,000時間という長寿命製品が各種メーカーから開発されている。Hf蛍光灯はすでに大量生産が行われているため、大量調達による原価圧縮が可能であり、蛍光灯器具の本体単価やランプ単価がきわめて安価というのも、蛍光灯に優位性がある。

CCFLがいくら長寿命で、ランプ交換の手間を軽減することが可能といっても、導入によりランニングコストを低減できなければ採用は困難である。消費電力を低減したいという目的であれば、現在ではLED照明の著しい効率向上が図られているため、冷陰極管ではなくLED照明を選択するのが一般的となる。初期投資の減価償却を踏まえた計画であれば、冷陰極管の選択では、投資金額の回収が不可能となることに注意を要する。

冷陰極管を採用する場合、省エネルギーや長寿命化を求めるという視点ではなく、デザイン性を求めての採用が良い。冷陰極管は蛍光灯と同様、繋ぎ目のない直線的な光を放出できる。LED照明は単体素子を並べての線発光なので粒々感を感じることがあるが、冷陰極管では素子単位の発光ではないため直性的な光をきれいに見せることが可能。

CCFLイカリング(エンジェルアイ)とは

バイクや自家用車など車両用ヘッドライト装飾用として、CCFLをサークラインのような環状に加工した製品がすでに利用されている。白または青のカラーが一般的で、細長く高輝度な光を放つため、通称として「イカリング」という呼び方がなされている。ヘッドライトの周辺がリング状に光って見えるため「エンジェルアイ」という名称でも普及している。

車両のオーナーが、装飾のため自作することが多く、車両内部に配線工事を行って自ら取り付ける事例が増えている。メーカーによる安全検証を経ての取付ではないため、冷陰極管と安定器の選定ミスや、異常加熱によってコネクタやインバーターが劣化し、発火するという事故も報告されている。冷陰極管が起因する車両火災【神戸市】によると、下記のような取付方法によって事故が発生すると注意喚起している。

  • 2灯用安定器に冷陰極管を1台しか繋いでいない
  • 2灯用安定器の空きコネクタに水・埃が侵入する
  • インバーター配線の防水・絶縁不良
  • インバーター配線の無理な取り回しによる損傷
  • 故障時に配線を放置している
  • 高電圧に耐えられない絶縁処理

CCFLインバーターは、1,000Vを超える高電圧が発生するため、ビニールテープを貼り付ける程度の絶縁処理では絶縁破壊が発生する。振動が発生する高温多湿の場所は、配線の敷設場所として極めて過酷である。埃と水分が充電部分に触れると、コンセント端子間のような「トラッキング現象」が発生し、出火につながるおそれがある。

冷陰極管の誘導灯への採用

直管蛍光灯を内蔵した従来型の誘導灯では、小形誘導灯で15W、中形級で23W、大形で95Wという大きな消費電力を必要としていた。しかし、冷陰極管を採用した誘導灯により、小形(C級)で4.5W、BL級(中形)で5.5W、BH級で7.2W、A級で24Wと、極めて大きな省エネ効果を発揮できている。

一般蛍光灯は寿命が6,000時間程度しかなく、映画館など特殊な事例を除いて24時間点灯させなければならない防災設備であり、約1年でランプ交換を強いられる非経済的な設備である。

これに対応し、小さな電力で高い輝度を得られ、かつランプ寿命60,000時間を持つ冷陰極管は誘導灯に最適とされ、直管蛍光灯からの置き換えが進められた。約7~8年はランプ交換が不要となった。

現在では多くのメーカーで冷陰極管の販売終了が決定し、LED照明を使用した誘導灯が生産の主流を占めている。LEDを使用した誘導灯はC級で2W、BL級で3W程度となり、冷陰極管を用いた誘導灯よりもさらに50%の省エネルギーが図られている。直管蛍光灯を用いた器具とは比べるべくもない。現行の設計では、LEDを用いた誘導灯を選択するのが一般的となる。

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