分電盤・配電盤の仕組みと違い

電気設備の知識と技術 > 電気設備設計の基礎知識 > 分電盤・配電盤の仕組みと違い

分電盤とは

スポンサーリンク

分電盤とは、配線用遮断器や漏電遮断器の各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーの制御装置を収容した、金属製またはプラスチック製の収容箱のこと。壁に埋め込む方式や、直接壁面に露出して取り付ける方式に分類されている。

電気を使いすぎて「ブレーカーが落ちる」という事象は「分電盤内部に取り付けられているブレーカーが動作する」という意味である。同時に多くの電気機器を動かしてしまい、回路が過負荷になった際には分電盤内部のブレーカーによって電路を遮断し、安全を確保する。ケーブルの損傷によりショート事故が発生した場合でも、分電盤内部のブレーカーが事故を検出して電路を遮断する。

分電盤内部には、電線に許容以上の電流が流れないよう保護するための配線用遮断器のほか、漏電が発生した電路を自動で遮断する「漏電遮断器」なども設置可能である。

受変電設備の配電盤などから太いケーブルで供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分けるという用途のため「分電盤」という名称で呼ばれる。対して、電路に開閉器を設けるだけの場合は「開閉器盤」という名称で呼ぶのが一般的である。

住宅用分電盤の特徴と仕組み

住宅用分電盤は、住宅用途としての使用を想定して製作された分電盤で、リミッター(電流制限器)、漏電遮断器、分岐用の配線用遮断器(安全ブレーカー)といった設備を組み合わせて構成された分電盤である。樹脂製の本体に収容されているのが一般的で、壁付けで露出させても、美観上耐えるように作られている。住宅用分電盤はホーム分電盤とも呼ばれる。

主幹容量30A~100Aまでがラインナップされており、分岐回路はコンパクトブレーカーを使用することで、非常に小さな分電盤に仕上げている。住宅用分電盤は、クローゼット内の上部や、キッチン・洗面所の入口扉上部に配置される。

分電盤の安全性を確保するため「分電盤の前面に物が置けないように配置する」という計画上の安全対策が行われている。これは分電盤の設置について「内線規程」と呼ばれる基準書において「電気回路の開閉が容易に行える場所」に設置しなければならないことが定められているためである。

住宅用分電盤のブレーカーはプラグインタイプが多く、ブレーカーの取外しや取付が容易である。エアコンや電磁調理器などを導入する場合、100Vのブレーカーを200Vに交換するといった工事が必要となるが、電圧の変更を伴うブレーカー交換工事もプラグインブレーカーであれば簡単に行える。

ホーム分電盤のサイズ

ホーム分電盤はコンパクト仕様が一般的で、高さ320mm程度、幅は40A・12回路程度の一般的サイズであれば450mm程度が基本サイズとなる。ブレーカーを多数取り付けたり、電力メーターを組み込んだりすれば、組み込んだ設備のボリュームに応じて幅が大きくなる。

奥行きは110~140mm程度であり、業務用の分電盤よりも薄く製作されているため、クローゼットに収容するのも容易である。

契約アンペアと基本料金単価

リミッターの一次側に、電気温水器やエコキュート専用の遮断器を用意し、時間帯別契約に対応した住宅用分電盤や、太陽光発電設備を導入する家庭用として、過電圧保護機能を搭載した連系用ブレーカーを用意したもの、セキュリティ用1次側電源送りを用意したものなど、用途に応じて多数の住宅用分電盤が精算されている。

電力会社との契約により住宅用分電盤の内部にリミッターが設置されるが、アンペア数によってブレーカーのツマミの色が分けられており、契約アンペア毎に基本料金が設定されている。

  • 10A:赤 約260円/月
  • 15A:桃 約390円/月
  • 20A:黄 約520円/月
  • 30A:緑 約780円/月
  • 40A:灰 約1,040円/月
  • 50A:茶 約1,300円/月
  • 60A:紫 約1,560円/月

通電火災の対策

地震によってケーブルやコード、各種家電製品が損傷すると、漏電や発熱によって感電や火災事故につながる。地震を要因とした電気火災は、発生のおそれが非常に高く、その多くが「通電火災」と呼ばれる、停電が復旧した際に発生する火災が原因とされている。ここで、通電火災が発生する仕組みを説明する。

地震が発生する以前に使用していた照明器具、電気ヒーター、オーブンといった電気を熱源とする機器は、地震発生直後に停電が発生すれば電源供給が遮断される。しかし、これら電気機器のスイッチをオフにせず避難すると、電力会社からの送電再開によりこれら電気機器に電気が供給される。

照明はあまり問題にならないが、電気ヒーターなどは火災の原因となる。大きな地震では家具などが倒れていたり、使っている電気ヒーターに毛布や衣類、棚から落ちたものが覆いかぶさっている可能性がある。状態で電力会社からの通電が再開すると、ヒーターの熱で着火し火災につながる。これが通電の発生の流れ火災である。

電気ヒーターには下部にセンサーが設けられており、ヒーターが傾いていたり倒れていれば。安全装置によって通電がオフである。しかし、ヒーターが立ったままの状態で衣類が覆いかぶさっているような状況も考えられるので完全とはいえない。

感震機能付きホーム分電盤

通電火災を防止するため、分電盤に「感震装置」を組み込むという安全対策がある。感震装置は、一定以上の揺れを検出した際にブレーカーを自動的に落とすというシステムで、震災後の電気的な安全対策として注目されている。

地震発生時にブレーカーを自動的に動作させれば、電力会社からの電力が復旧しても、電気ヒーターなど危険な電気機器への通電を防止できる。

分電盤の設計

分電盤は建物用途や設置される電気機器の使い方に選定方法がまったく違ったものになるため、盤設計のコンセプトを確立する必要がある。電力量計の有無、制御装置、配線用遮断器と漏電遮断器の使い分けと保護協調、予備回路の数、盤の材質、鍵の種類、扉の有無など、考えるべき部分は多岐に渡る。

古い建物に設置されている分電盤では、ナイフスイッチによる開閉器が主幹になっているものもあるが、全ての分岐を切り離さないと主幹を切れないため、ナイフスイッチは使用されなくなり、遮断器能を持つ配線用遮断器を主幹として設置するようになった。

分電盤の基本的な内部構成と仕組み

分電盤は、一次側幹線が接続される主幹が設けられ、二次側に複数の分岐遮断器が配置される。分岐遮断器の二次側にはリモコンリレーやマグネットスイッチが設けられ、タイマーやリモコンスイッチによって自動・遠隔制御を行うことも可能である。

主幹には、配線用遮断器や漏電遮断器が使用され、系統全体の過負荷保護や漏電保護を行う。分岐遮断器は、照明やコンセント、空調機など、電源を供給する負荷の種類・種別で区分する。

配線設計に際しては、照明負荷、コンセント負荷を分離した構成にするのが望まれる。照明とコンセントを同一回路とした場合、コンセントに接続した電気機器の過負荷で、照明まで一緒に停電してしまうことになるため、望ましくない。

照明とコンセントは回路を分離し、同一回路にしないことが原則である。EPSやPSなど、シャフトの照明やコンセントの場合、過負荷が発生するおそれが少ないため、同一回路にしても問題ない。

遮断器の開閉頻度と耐久回数

分電盤に内蔵する配線用遮断器や漏電遮断器は、開閉回数に制限がある。大きなフレームの遮断器ほど、耐えられる開閉回数が少なくなる傾向にあり、無負荷開閉よりも負荷開閉の方が、負担である。

100AF以下の遮断器では、通電6,000回・無通電4,000回、計10,000回の開閉が保証されている。しかし、引外し装置の作動(過負荷や短絡)の場合、1,000回の開閉で耐久回数を超過する。

テストボタンによる動作も同様であり、テストボタンは引外し装置を強制的に動作させているため、ブレーカーのツマミを手動で動作させるよりも過酷な環境である。ブレーカーの開閉をテストボタンで代替すると、規定開閉回数よりも著しく少ない開閉で、ブレーカーが故障する。

漏電遮断器の注意点

漏電遮断器を主幹とする場合は、分岐遮断器と主幹の保護協調を必ず確保する。分岐遮断器は一般的に30mA以上の漏電が発生すると、遮断動作を行う。主幹が同じく30mAに設定されていると、漏電した際に主幹と分岐遮断器が同時にトリップしてしまうので、広範囲停電となる。広範囲停電を防ぐために、主幹遮断器の漏電電流設定を100mAや200mAに設定して、保護協調を取ることが望まれる。

分電盤の主幹は配線用遮断器(MCCB)にするのが原則である。漏電遮断器(ELCB)にすると、二次側で漏電が発生した際に主幹で落ちるおそれがあり、広範囲の停電を引き起こす。できる限り分岐遮断器で漏電遮断するように計画する。もし主幹を漏電遮断器とする場合は、感度変更可能型等にすることで保護協調を取るように計画する。

分電盤の構造と性能

分電盤は、設置できる場所に対する性能に屋内形と屋外形に分類される。屋内形は雨水に対する抵抗力がまったくなく、耐候性を期待できないため、雨が当たる場所に設置できない。水に対して抵抗が必要な場合、屋外形の分電盤を選定する。分電盤の特殊仕様として、防滴、防塵、防食・耐塩害など、設置する場所に応じた対策品が生産されている。

分電盤の取付方法の分類として、小規模な分電盤では壁掛形、大規模分電盤では自立形がある。壁掛形の分電盤は、固定するために壁面強度が必要であり、重量に応じた壁補強が必要である。ALCなど、アンカー強度が期待できない建材の場合、ALC両面からチャンネルベースを挟み込むなど、特別な対応が必要である。

分電盤の材質

外箱の材質は、鋼板やステンレスの金属製、樹脂製のものがあり、設置する場所によって適合する材質の分電盤を選定しなければならない。

一般屋内では鋼板製が多いが、屋外で使用する場合は、ステンレス製の箱を使用する。ステンレス製の盤は耐候性が高く、塩害地域でも支障なく設置できるが、鋼板製よりも高価である。溶融亜鉛めっきを施した鋼板は、ステンレスよりも比較的安価で高い耐候性があるので、多用されている。

分電盤の塗装とツヤ

キュービクルと同様に、分電盤も一般屋内・屋外・沿岸地域など、設置場所に応じた塗装仕様を設定しなければならない。沿岸部に通常仕様の分電盤を設置すると、数年を待たずに錆が発生し、期待される耐久年数を満足できない。通常よりも劣悪な環境に分電盤を計画しなければならない場合、所定の膜厚以上の塗装厚を確保し、十分な耐候性をもった分電盤を選定すべきである。

分電盤の塗装色は2.5Y9/1(ベージュ)または5Y7/1(グレー)が標準で、これはキュービクルと同様である。ツヤは、屋外に設置する場合は全ツヤまたは半ツヤとし、汚れが落ちやすい仕様を選定すると良い。ツヤなしの塗装は汚れが落ちにくいため、屋内盤に使用するのが良い。

単純に「屋外盤なので全ツヤとする」と考えてしまうと不具合が発生する。日射の強い場所に盤を設置した場合、全ツヤでは日光を強く反射してしまい、まぶしさを感じる場合がある。近隣に高層の建物や住宅があった場合、反射した光によるクレームの発生のおそれも考えられる。

場合は、屋外でも半ツヤや、7分ツヤなどを選定することも考えられる。色々なシミュレーションを根拠にして、ツヤの選定を行うようにすべきである。

サーモラベルによる異常発熱の保護

分電盤は大きな電流が流れるため、接続不良や過負荷によって導体接続部が加熱され、異常発熱が継続すると発火・焼損の原因となる。分電盤の銅バー部分は充電部であり、接触による温度計測は不可能である。早期に異常発熱を検出するために、銅バーなど大きな電流を流す導体の接続部に、非可逆性のサーモラベルを貼付する。

サーモラベルを非可逆性にしないと、異常発熱の発生が一時的に抑制された場合、サーモラベルの温度表示が消えてしまう。一度でも温度異常が発生すれば、今後再発する可能性が著しく高いため、サーモラベルが異常発熱を検出した場合は対策をすることが望まれる。

サーモラベルの変色原因として、過負荷による銅バーの過熱のほか、締付の緩みによる電気抵抗の増大で発生する異常加熱などが考えられる。精度の高い温度異常の検出のため、サーモラベルの温度設定は、70℃・80℃・90℃程度の3温度表示が良い。

分電盤の耐熱性能・耐熱盤の基準

防災設備に電源を供給するための盤は、建築基準法では「予備電源」、消防法では「非常電源」と称され、規制される。建築基準法と消防法で、若干の基準の相違がある。

お互いの法規で規制される電源はそれぞれ違うのであるが、排煙設備などは建築基準法上の排煙と消防排煙の二種類が該当する場合があり、耐熱盤は条件の悪い方(耐熱性能の高い方)を選定しなければならない。

建築基準法と消防法における一般形の指定

建築基準法上、火気使用のない耐火区画室では、一般形の盤で良い。消防法では、電気室に限定した不燃区画のみ、一般形で良いとされている。

耐火区画室として構成された「機械室」に排煙設備の電源を設置する場合を例にすると、建築基準法上は一般形の盤で良いが、消防法の規定においては「電気室」でなければNGとされるため、防災電源盤は二種耐熱盤を選定する必要がある。

二種耐熱形の指定

分電盤を最高温度280℃で30分過熱した際に、問題なく電源供給できる性能を持っている。内部機器は120℃まで耐えるような部材で構成されている。

建築基準法上は、耐火区画室以外の室内、延焼のおそれのない屋外・屋上、開放廊下、不燃区画された廊下、不燃区画された一般階段(避難用ではない階段)に予備電源盤を設ける場合、二種耐熱盤とする。

消防法では、不燃区画の機械室、シャフト内、屋外・屋上、開放廊下、避難階段に非常電源を設ける場合、二種耐熱形とする。

同様に、排煙設備の電源を「避難階段」設けたい場合、消防法上は二種耐熱盤で良いが、建築基準法上は設置不可とされているため、排煙設備の電源盤は設置できない。

一種耐熱形の指定

分電盤を最高温度840℃で30分過熱した際に、問題なく電源供給できる性能を持っている。内部機器は280℃まで耐えるような部材で構成されている。

建築基準法上は、居室内、延焼のおそれのある屋外・屋上、一般廊下、一般階段(避難用ではない階段)に予備電源盤を設ける場合、一種耐熱盤とする。

消防法では、居室内、一般廊下、一般階段に非常電源を設ける場合、一種耐熱形とする。

同様に、排煙設備を「屋外・屋上」に設けたい場合、延焼線にかかっている場所だったとすれば、消防法上は二種耐熱形で問題ないためあるが、建築基準法上は一種耐熱形とする。

規制される法令によって盤の耐熱仕様が違っている。電源の必要な電気機器が「建築基準法」に規制されるのか「消防法」に規制されるのかを確認し、お互いの法令に準拠するように計画を行うのが重要なポイントである。

分電盤の設置計画

分電盤の設置場所・供給範囲

分電盤は、床面積500m2~800m2に1箇所程度設置し、末端負荷までの距離を50m以下、電圧降下2%程度を限界として計画すると、経済的かつ合理的な設計となる。

分電盤はできる限り負荷の中心部に設置するように計画し、二次側配線が遠くならないように考慮する。扉を90°開放できることや、保守点検が容易な場所に設置することは、メンテナンス効率が良くなり、安全性や利便性が向上する。倉庫や事務室に分電盤を設置した場合、棚や荷物の置場が制限され、分電盤が開けられない状態になるので、分電盤は専用の電気シャフトに設置することが望まれる。

ひとつの分電盤が支配する面積が広すぎると、分電盤から負荷までの距離が長くなるため電圧降下が発生し、二次側配線のサイズアップが必要である。分岐回路数が多くなるため分電盤が大型になり、維持管理の上からも望ましくない。

分電盤は各階1面を原則とし、1階にある分電盤で2階の負荷に電源供給するような計画は避けるべきである。屋上・塔屋など限られた部分に電源供給するような場合は、下階の分電盤を使用することを考慮する。

分電盤の設置場所

分電盤はEPSの専用室に設置することが原則であるが、場合によって事務室や通路に設置することも考えられる。しかし、エントランスホールなど、部外者が来訪するような場所に設置することは避けるべきである。

防災設備への電源供給を行っている場合、EPSの専用室以外に設置すると耐熱盤・耐火盤の規制が厳しくなるため、思いがけないコストアップとなる場合がある。耐震壁など、断面欠損すると耐震性を大きく損なうことがあるので、埋め込まないように注意を要する。

維持管理を考慮した場所に設置することも、計画上重要なポイントである。分電盤の大きさにあったメンテナンススペースの確保はもちろん、扉の開閉、増設の改修工事の容易さなども考慮する。分電盤の前面に1.2m程度のスペースが確保できることが望まれる。

分電盤の取付と補強

分電盤は、盤の上端が2.0mを超えない位置に設置すると、維持管理が容易である。あまり高い位置に取り付けると、盤を開けるために脚立などが必要になり、メンテナンスが困難である。電力量計を内蔵した分電盤の場合、検針のたびに盤の扉を開けなくても済むように検針窓を設置することが望まれる。検針窓は高さ1.5m程度とし、目の高さに合わせると良い。

壁掛分電盤を軽量下地に支持する場合、補強してもらわなければ盤の自重で壁面を損傷する。大型の盤になる場合は、自立型にすることを考慮すべきである。コンクリート壁を取付面に選定する場合、アンカーボルトやドリルアンカーなどを利用して、強固に取付を行う。コンクリートは強度が高いので、壁面側に特別な補強を行わずに設置できる。

ブロック壁に分電盤を取付ける場合は、壁面に十分な強度を得られない場合があるので、ブロック内部の鉄筋にアンカー溶接するか、ブロックを貫通させ、平鉄やダクターチャンネルを挟み込み、締め付けることで強固に固定できる。さらに、耐震補強として振れ止めの確保などを行えば、地震時にも安心して電力供給できる。

他にも、埋込にする場合、防火壁になっていないかを確認し、できる限り防火壁への取付けは避けると良い。防火壁を埋込盤で貫通した場合、盤の裏面に防火壁を構成するための追加壁面が必要になり、納まりが複雑になる。

分電盤の設置場所と仕様選定

分電盤の仕様選定にも注意が必要である。屋内に設置する分電盤であれば、屋内形を選定するのが一般的であるが、外気取入を含む空調チャンバーとなっている機械室では、湿気や塩分を含んだ室内環境となる。耐塩仕様としたり、屋外形としたり、一般的な屋内形の分電盤以上の機能が求められる。

次のような場所は、分電盤の設置に適していないため、設置しないことが望まれる。

  • 外壁
  • 保守点検が困難な場所
  • 厨房・浴室内部
  • 火気・ガスの発生する場所
  • 階段室内・踊り場

分電盤・配電盤の結露対策

結露の基礎知識

空気中には一定量の水蒸気が含まれており、温度に偏りがなければ空気中に含まれたままであり、水分として現れる事はない。しかし、温度が低下することで飽和水蒸気量の上限値が下がり、空気中に水蒸気として含めないと、水分が目に見える形として現れる。

夏の暑い環境においてコップに冷えた水を入れると、表面に水滴が発生する。コップ表面で空気が冷やされ、飽和水蒸気量の上限が低くなり、空気中に含まれている水蒸気が水滴に変化し、コップ表面に現れるというのが結露発生の仕組みである。

この結露現象は、分電盤や配電盤の電気設備においても同様に発生するおそれがある。電気設備に結露が生じると、電気機器の絶縁低下を引き起こし、絶縁不良による地絡の事故につながる。

結露発生の原因

外気が急激に低下すると、配電盤本体が冷やされるため、飽和水蒸気量が変動し、空気中の水分が水滴となって盤に付着する。盤の換気口から高湿度の空気が流入するなど、盤の内部で結露が発生する可能性は多々ある。

分電盤の結露には、冬型結露と夏型結露に分類される。冬型結露は、外気温の急激な低下により、盤内壁面に水滴が付着する結露である。夏型結露は、高湿度で暖かい外気が盤内に流入したとき、内部機器や盤壁面に水滴が付着する結露である。どちらも、水滴による金属部の腐食促進や、ほこりや汚れがトラッキング現象を発生させるおそれがあるので、結露防止を行うのが重要である。

冬型結露を防止するには、盤内の急激な温度変化を避け、換気口を設けて温度を一定にすることや、スペースヒーターによって露店温度を上昇させるの対策が考えられる。夏型結露に対しては、分電盤を密閉して高温多湿の外気を流入させない方法や、除湿装置を内蔵するという方法がある。

措置を講じた場合でも、内部結露が発生するおそれがある。盤内に溜まった水分を外に出すため、盤下部に水抜き穴を設けることも考慮すべきである。

分電盤の結露対策

盤内に発熱機器がある場合、盤内温度が上昇していれば、結露の発生は比較的少なく安全である。配電盤の場合は盤内部には変圧器など、熱源となる設備が収容されており、運転状況にもよるが表面温度が40℃~70℃程度までになるため、結露に対しては安全である。

盤内の温度を確保できない場合、盤の下部にスペースヒーターを設け、飽和水蒸気量が低下しないように管理を行う。スペースヒーターの容量は、盤の容積1m3毎に20W~40W程度とすれば、結露を効果的に予防できる。

外気湿度100%の環境で、盤内結露を防止するには、湿度を85%まで低下させなければならない。盤内温度を外気より5℃以上高くすることで、有効な結露防止となる。換気口を設けて空気を流通させて結露を防止する方法や、盤表面に断熱材を敷き込んで温度差を緩和する方法なども考えられる。

分電盤の粉塵・浸水・小動物対策

分電盤を繊維工場や食品工場に設置する場合、盤の設置場所に粉塵が内部に侵入するおそれがある。粉塵がたとえ非導電性物質であっても、水分を含むことで導電性を持つことがあり、トラッキング現象による機器の破損が考えられる。分電盤は防塵形を採用し、入・出線部を密閉し、粉塵が侵入しない構造にする。

自立形の分電盤では、キャビネット下部のチャンネルベースの隙間から異物が侵入するので、完全密閉コーキングを行うのがある。しかしチャンネルベースの四周を完全に密閉すると、溜まった水が抜けず、長期間水と接触した金属部は腐食・絶縁不良が発生しやすくなる。

水が抜けるように水抜き孔を設けるか、チャンネルベースと基礎の隙間をコーキングしないという判断も有り得る。基礎を傾け、水が溜まらないように配慮することも重要である。

分電盤を軽量下地の壁面に埋め込む場合、キャビネットの開口部に壁内の粉塵・虫などが盤内に侵入する。侵入を防止するためには、仕切り板やパテ、コーキングにより、開口部を全て閉塞するのが効果的である。

開口部まわりは、開口孔明け作業による切粉が付着していることがあり、主幹や分岐のバーに接触すると、短絡事故につながるおそれがある。通電する前に十分清掃を行ない、切粉や電線屑を除去する。

分電盤の耐用年数と寿命

分電盤は、内蔵している設備毎に寿命が設定されている。電磁開閉器やコンデンサは約10年、配線用遮断器やスイッチ、継電器類は約15年が耐用年数といわれる。箱体は設置場所によって違うが、EPSの屋内設置であれば、40年から60年は使用できる。これは錆や傷が発生した場合、補修するなどして維持管理・保全を十分に行った場合の年数である。

耐用年数の考え方には、物理的劣化だけではなく、性能の陳腐化による社会的劣化も考える必要がある。従来の機器に比べ、著しく機能が上昇する製品が販売されたり、安全性が飛躍的に高まる製品が販売され、既存設備の陳腐化が著しくなった場合でも、機器交換を行うのが望まれる。

耐用年数に到達していなくても、遮断器やコンデンサの温度異常、異常膨らみ、異音・振動、発熱などが発生していれば、交換することを推奨する。遮断器のスイッチが入りにくかったり、途中で止まってしまうなど、動作に支障がある製品も交換するべきである。

分電盤の箱は、長寿命であるが、ハンドルや箱に錆が発生しているもの、腐食等によって固着しているものについては、無理な開閉をすると箱本体が致命的な損傷を起こすので、開閉時には注意が必要である。

絶縁抵抗測定による劣化診断

配線用遮断器も、絶縁抵抗測定によって劣化診断できる。500V絶縁抵抗計に対地間の絶縁抵抗を測定したとき、5メグオーム以下となっていれば交換するべきである。

配線用遮断器の二次側に設置されている電気機器に、電圧印加による損傷を与えるおそれがある場合は、125Vレンジを使用するなど配慮する。電子機器に絶縁抵抗試験をすると、高電圧によって機器を破損させてしまうため、十分な注意が必要である。

配電盤と分電盤の違い

電力会社から電力の供給を受ける部分、受電点に設置される盤は配電盤と呼ばれる。配電盤から各所必要な場所に幹線が敷設され、幹線の先に分電盤を設置し、照明やコンセント、電動機に電源を供給する。

分電盤の呼び方として、電灯幹線が接続された分電盤は電灯分電盤と呼び、動力幹線が接続された分電盤は動力分電盤と呼ぶ。動力負荷に電源を供給する分電盤は、ファンやポンプなどを自動制御するための機器が収容されるため、動力分電盤という呼び方ではなく、動力制御盤と呼ぶこともある。

スポンサーリンク

電気設備の知識と技術 > 電気設備設計の基礎知識 > 分電盤・配電盤の仕組みと違い