電話設備・交換機の種類と特徴

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電話設備設計の概要

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電話は、住宅、業務施設など、どのような建物であっても、ほとんどの施設で導入する通信設備である。

建物の用途に必要な電話線の計画が違う。住宅での電話回線は1回線あれば十分であり、近年は携帯電話やスマートフォンを使うため、固定電話を導入しない世帯も増えている。

事務所や店舗であれば、住宅と違い、多数の電話回線を必要とする。100~200m2程度の床面積であれば、各々の区画で4~5回線程度の電話線が引き込まれていれば、銀行など特殊用途でない限り、十分使用できる。

銀行など、電話線を多数使う業務施設が計画されている場合、より多くの電話回線数が必要となり、光ケーブルの導入も求められる。ここでは、電気設備における電話設備の設計や計画について解説する。

電話回線の種類

電話回線には、メタルケーブルに音声信号を乗せて伝送するアナログ回線と、0と1のデジタル信号によってデータ伝送を行うデジタル回線がある。

アナログ回線

アナログ回線による電話には、パルス方式(ダイヤル方式)とプッシュ方式(トーン方式)がある。ダイヤル電話などが代表的であるが、ボタン方式の電話機でも、ボタンを押した際に「ジジジジ」という音がするタイプは、パルス方式の電話となる。この「ジジジジ」音の回数により、NTTなど通信事業者の電話交換機が、ダイヤルされた番号を認識する。

対して、ボタンを押した瞬間に「ピッ」という音がするのは、プッシュ方式の電話機である。プッシュ方式は、パルス方式よりも通話が開始される速度が早く、すぐに電話をかけることができるメリットがある。電話機を用いたサービスでは、宅急便の再配達、クレジットカードやキャッシュカードの照会、チケット予約などで、番号を入力する事が可能なサービスがあるが、これはプッシュ方式でなければならない。

デジタル回線

デジタル信号を用いて通話を行う方式で、一般にISDNと呼ばれている。デジタル通信では、1本の回線に多数の情報通信路を割り当て、複数の通信機器を使用したり、同時に多数の通信サービスを受けられる。ノイズに強く、通話だけでなく電話番号の付帯情報が送信できるなど、高品位な通話環境を構築でき、音声を多重化できるため、INS64やINS1500といった通信事業者のサービスを契約することで、ISDN規格の通信を使用できる。

デジタル回線を使用している場合、電話機はすべてプッシュ方式となり、パルス方式の電話機は使用できない。通信のためにTA(ターミナルアダプタ)という機器が必要である。

電話配線の引込場所と方式の設定

電話線は、敷地のどの方角から引き込むのか、架空引込なのか地中引込なのかを確認する。周囲敷地が無電柱地域であれば、電話線は地中から来るので、ハンドホールの設置や敷地外突出し配管が必要である。架空地域であれば、引込柱の敷設が必要である。

架空・地中のどちらも、NTTと事前協議を行い、引込予定場所を取り決める必要がある。引込柱や引込部のハンドホールは、NTTだけではなく、ケーブルテレビなど電話以外の引込にも使用される。完全地中埋設であれば美感情の問題はないが、架空引込の場合で引込本数が多いと、引込柱周りの空配管本数が多くなり、不格好になるため、周辺環境との調和も考えて位置を計画することが大切である。

電話機器の工事範囲

電話設備設計において、配管や壁・床取付のアウトレット類は本工事として設計することが多いが、PBXや電話機器類は別途発注となるケースが多く、電気設備設計の範囲として電話機器類を計画することはあまりない。設置予定の電話機器に対し、必要となる配管・配線・機器設置場所の確保・補強を早期に確認し、必要工事を計画することが望まれる。

MDF設置の計画

電話線を引込む場合、財産分界点を決める必要がある。一般的には、MDFを設置しMDFの端子をもってNTTと施設との区分とする。こうすることで、どの設備がどちらの資産なのかを明確にし、工事金額の算出などが正確に行える。

NTTとの区分決定は、管轄するエリアの部署ごとに方法・方式が違うため詳細確認が必要である。施設内の配線まで対応を可とする部署もあれば、MDF内の端子までの場合、成端の有無などでも細かく区分される。光ケーブルを引き込みたい場合には光アクセス装置なる機器を設置してもらうのであるが、機器を設置するスペースの確保や、電源供給が必要な場合がある。電気の使用料金はNTTから請求できるので、電力量計を設置するか、定額料金にするかを決めれる。

その他、必要な空配管サイズ本数なども決められているため、NTT担当者と十分な協議を行うようにすべきである。

弱電端子盤とは

弱電端子盤は電源ケーブル以外の弱電線を収容する盤である。電話線の端子、LANケーブルやハブ、テレビ用同軸ケーブルや分配器、インターホン端子などを内蔵している。この盤を拠点にして周辺の必要場所に配線を供給している。

MDF

NTT回線の引込点にある電話用端子盤で(Main Distributing Frame)の略称である。MDFにはNTT関連機器のみ収容するようにし、必要であれば別に端子盤を設けるようにすべきである。

IDF

(Intermediate Distribution Frame)の略称である。MDF以降の各階に電話端子を振り分けるために設置する盤で、電話端子以外にもLAN用ハブやテレビ配線の中継として共用する。

弱電端子盤の計画の注意点

弱電端子盤を共用部に設置する場合は必ず鍵付きとする。電話線やインターネット配線を内蔵しているため、セキュリティ対策を考える必要がある。EPS内に設ける場合なら施設関係者しか入らないことから弱電端子盤とはせず、木板で済ませても良い場合もある。が、どちらも施主のセキュリティ意識によって考え方が変わるため確認が大切である。場合によっては、ハンドルキーも200番ではなくTAKなどを採用するのも良い可能性がある。内部に発熱する機器がある場合は、換気口や換気スリットを設けて放熱させるようにすべきである

なお木板とした場合、熱リスクの低減やコスト低減のメリットがあるが、配線が多くなると見栄えが非常に悪くなる。

接地の確保

一般的な設計方法では、感電防止の保安接地としてD種接地を箱体に施す。弱電用として単独に接地を確保する場合もあるので、内蔵する機器の用途を把握して接地計画を決める必要がある。

交換機方式(PBX方式)

電話交換機を設置し、外線や内線の制御を行う方式である。多数の電話回線を使用する大規模施設向けの方式である。ダイレクトインライン方式、ダイヤルイン方式、中継台方式などが代表的な交換方式である。

電話交換機が普及し始めた当初は、発信先に対して「電話番号を通知するサービス」に不具合があり、企業内で用いている代表番号と、通知する電話番号が一致しないことがあった。その名残で、未だに「企業からの電話が非通知設定となる」事象が残っており、就職活動においては「携帯電話の非通知設定を解除」するよう指導されることもある。

現在では、多くの企業で電話交換機の設定を見直し、部署ごとの番号を適正に表示したり、代表電話番号を表示できるようになる。携帯電話やナンバーディスプレイ付き電話機が普及し、「非通知設定の着信は出ない」ということもある。非通知でしか発信できない状態は、不利益となることも考えられる。

ダイレクトインライン方式

外線本数を部署ごとに割り振り、直通で着信させる方式である。外線が100回線導入されている場合で、10の部署が有り10回線ずつを部署に割り振ったとする。ある部署の電話利用頻度が高くなって10回線では足りなくなったり、5回線程度で支障なかったという場合でも、部署間での融通が効かないので、過剰な局線や不足局線が発生する。

ダイヤルイン方式

外線本数を、全ての部署で共有する方式で、最も普及している応答方式である。多数の電話線が必要な部署や、少ない部署があっても、全部署で融通できるため、過剰な局線の発生を抑えられる。

中継台方式

外線を、中継台で交換手が取り、人の手によって転送する方法である。従来は、電話交換を行う専門員が設けられており、一部の行政機関や消防署では、代表電話に電話を掛けると、人の手で担当部署につなぐ方式を残していることがあるが、人件費の問題があるため、オフィスビルの設計においては、新たに採用されることはない。

ビジネスホン方式

ビジネスホン主装置に外線や内線の制御を行う方式である。PBXを設置しない程度の、小規模事務所などで採用される方式であるが、近年の多機能電話機・主装置においてはPBXと同様な機能を持つ製品もある。

電話機間の内線通話や、外線の保留・転送の機能を持ち、PBXのダイヤルイン方式と同様、少ない外線で多くの電話機に対応できるため、局線の効率化を図れる。

IP電話方式

アナログ音声信号をデジタルに変換し、専用IP網を通して伝送し、再度アナログ音声信号に変換する方式である。PBX方式などを構築するよりも安価で、通信費の節約を図ることも可能であるが、通話品質はPBX方式に比べて劣る。

IP電話の概要と音声品質

IP電話は、従来の電話方式と比較し、音質は低い傾向にある。音声をパケットに変換し、アナログデジタル変換、パケット化、ルーチング、復号の各処理で音声の遅延が発生するのが原因である。

IPパケット流量の変動によって音声品質が変動しないように、音声トラヒックの優先制御が必要である。これがなければ、データの伝送を行うと、音声が聞き取れなくなるの弊害が発生する。

ゆらぎ(ジッタ)

音声パケットが通過する経路において、ネットワーク内のデータ輻輳状況や、機器の処理能力に音声パケットの到達時間が一定にならなかった場合、途切れや雑音などが発生する「ゆらぎ(ジッタ)」が発生する。VoIPゲートウェイにゆらぎ吸収バッファを実装し、音声を一旦蓄積して再生することで、途切れや雑音のない会話ができるが、ネットワークの状況によっては、大きく音声が遅れるなど、完全ではない。

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