UPSとCVCFの違い・選び方

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UPSとCVCFの基礎知識

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UPS( Uninterruptible Power Supply )と CVCF( Constant Voltage Constant Frequency )の特徴について解説する。

住宅用途や業務用途を問わず、電子計算機やパソコンは高機能化が進み、大容量ディスクにデータが保存され、高速処理が行われている。これら演算装置は電力会社から送られる電源を供給することで安定稼働しているが、電圧の変動や瞬間的な停電により、機能を停止してしまう繊細な電気機器のひとつである。

日本国内の送配電の信頼性は高く、災害を除き、長期間に渡る停電が発生する可能性は低い。しかし、落雷を原因とする瞬時電圧低下は比較的頻繁に発生しており、電圧の変動による影響は大きい。

通信機器や演算装置などはノンストップでデータ伝送や処理を行なっており、電圧の変動により動作を停止すれば、重要データを欠損する危険性が高い。電算装置を運用する企業や個人は、無停電電源装置を設置して電圧の変動に備えている。

電圧の変動に対する対策は、電力会社から供給される電源品質が低下しても、安定した電源を供給できるよう「UPS」や「CVCF」を設けるのが一般的である。

瞬時電圧低下とは

瞬時電圧低下とは、電力会社の送電設備や配電設備から供給される電圧が、瞬間的に低下する現象である。送電線や配電線への落雷が影響し、電圧変動が発生するというのが大きな理由のひとつである。

電力会社では、事故が発生した電力系統を自動的に切り離して電圧の維持を行なうが、保護動作に必要な0.07~0.2秒間は、電圧が大きく低下する。この瞬間的な電圧降下は、瞬時電圧低下となり需要家側もその影響を受ける。日本国内での瞬時電圧低下は、定格電圧の80%程度までの低下が多い。

UPSを需要家内に設置することで、一次電源が不安定な状態になっても、供給される電源品質を一定に保つことが可能となる。半導体工場などは、電圧の変動を厳しく制限しているので、UPSやCVCF装置を設けて電圧の安定化を図っている。

太陽光発電設備や風力発電設備など、安定しない電源が連系している電源系統では、蓄電池を併設することで電源品質が安定する。日射量や風速によって電圧・周波数が変動する自然エネルギー発電設備は、一度蓄電池に供給し、安定した電源を供給できれば、電源品質が飛躍的に向上する。

UPSの特徴

UPSは停電を伴わずに電源の切替を行う「無停電電源装置」であり、充電装置、インバーター、バッテリー等を搭載している。商用電源が遮断された場合、UPSから停電を伴わず電源を切替え、接続されている電算機やPCを保護する。

UPSは一般的に、数分間の電力を供給できる程度の容量とし、その補償時間中にサーバーやPC類のシャットダウンを行うか、非常用発電機などの予備電源に切替えて継続給電を行う。

情報通信機器の多くは、突然の電源喪失や電圧変動に耐性がなく、データの損失や、機器の故障を伴う。UPSで瞬間的な電圧変動や停電に対して補償し、非常用発電機と商用電源の二重化によって、電源の喪失を避けるように計画する。

UPSは突入電流や始動電流に弱く、空調機やモーター類のバックアップに適していない。過負荷にならないよう、保護する電気機器の選定は慎重に行わなければならない。

身近な無停電切替の事例

身近に広く普及している「無停電切替」として、ノートパソコンがある。ノートパソコンは電源装置として無停電切替機能を備えており、かつ蓄電池を本体に内蔵しているため、起動している状態で突然コンセントを抜いても、問題なく動作が継続する。

電源容量が減少した場合、使用しているOSに「電源容量が減少している」という通知を行い、シャットダウンを促すといった機能も充実しており、電源装置として高い信頼性を確保している。

ノートPCは、充電用の電源が供給されていない状態が数時間続いても、問題なく稼働できるほどの大容量バッテリーを搭載しているが、これは持ち運びを前提とした設計思想であり、据置型サーバーなどの大型装置に対しては数時間運用できる大容量バッテリーは不要である。

非常用発電機などが正常起動するために必要な、切替時間に対応するバッテリー容量とするのが、一般的な設計手法である。蓄電池は容量当たりのコストが高く、設置スペースも大きい。UPSの設計にあっては、発電機などへの切替時間のみ対応するなど、搭載容量は制限するべきである。

CVCFとは

CVCFは定電圧定周波数装置と呼ぶ。UPSと違い、商用電源が切れた場合の停電補償が主目的ではなく、負荷変動や電力会社側の電源品質の変動による「瞬間的な電圧や周波数変動」に対し、二次側の機器に定電圧定周波数の電源を供給するための装置である。一次側電源の電圧や周波数と同期せず、常に一定電圧と一定周波数の電源を供給する。

CVCFとUPSの機能の違い

CVCFの機能は、電圧安定化と周波数安定化が基本であるが、50Hz→60Hz変換や、60Hz→50Hz変換を可能にする製品もあるので、周波数変換装置として利用できる。

情報通信機器や実験装置など、供給電源の品質を要求される場合にCVCFが用いられる。UPSで記載した内容と重複するが、電算機は計測装置は電圧や周波数変動に弱いため、商用電源をそのまま使うのではなく、CVCF機能を持つ電源装置から電源を供給するのが良い。

設備管理室や防災センターなどに設けられる監視装置は、重要機器として、CVCFと同じような機能を持つ「UPS」を選定するのが基本である。UPSは停電時に無瞬断で電池からの電源供給に切替えるが、「常時インバーター方式」のUPSであれば、定常時はインバーターを介して「常に安定化された」電源を負荷側に供給できる。

常時インバーター方式のUPSは、負荷側の電源品質を安定させることが可能で、CVCF(定電圧定周波数)と同等の機能を有している。電力会社から供給される電圧が変動しても、UPSから出力される電圧や周波数は一定値を保ち、高い電源品質が確保される。電圧変動に耐性が弱い半導体製造工場や電算センターなど、多くの施設で常時インバーター方式のUPSが設けられている。

定常時に蓄電池やインバーターから電源が供給されない「ラインインタラクティブ方式」や「常時商用給電方式」の場合、CVCFのような電源安定機能は得られないため注意を要する。

UPSの回路構成

UPSの電源回路には、常時商用電源方式、ラインインタラクティブ方式、常時インバータ方式がある。

常時商用電源方式(インバータ待機方式・オフライン方式)

定常時は商用電源で負荷設備に電源供給し、電圧異常時にはリレー(スイッチ)によって蓄電池回路に高速で切替える方式である。定常運転時は、インバータを介さない系統から電源が供給されているため、電源の安定化機能はなく、商用電源の品質がそのまま負荷側に反映される。

電圧の変動検出からスイッチ切替えまで10msecを必要とすることから、無瞬断を求める電気機器には適していない。

インバーター不動作のため電力損失が発生せず、騒音も小さく抑えられ、システムが簡単で安価という利点があるが、電圧の安定化機能などを搭載していないため、家庭用パソコンやスイッチングハブといった重要度の低い情報機器の保護用UPSとして計画すると良い。

電圧の変動や、周波数の変動に影響を受ける、業務用サーバーや計測装置などへの採用は適していない。

ラインインタラクティブ方式

常時商用電源方式に電圧安定装置を付加したシステムで、商用電源を負荷に供給しつつ、変圧器(トランス)を内蔵することで電圧調整を可能とし、常にAC100Vに近い電圧の供給が可能となる。基本的なUPSとしての機能は常時商用電源方式と類似している。

電圧の安定化機能を搭載しているため、電気容量の大きな負荷を並列して運転している業務施設など、電圧の変動が予測される電気系統であれば、ラインインタラクティブ方式のUPSで電圧調整を行うと良い。

常時インバータ給電方式(オンライン方式)

商用電源を常時インバーターを経由して負荷装置に給電することで、定常時であっても電圧や周波数を安定させられ、かつ停電発生時の切替による瞬間的な停電も発生しない、最も信頼性の高い方式である。

定常時であっても、常にインバータを経由しているため電力損失が発生し、電源の変換に伴う騒音も常時発生する。装置が複雑であり、コストが高いというデメリットがある。

UPSの寿命と耐用年数

UPSは鉛蓄電池を内蔵しており、UPSを構成する各種装置のなかで最も交換周期が早い。一般的な鉛蓄電池は3~5年の期待寿命であるが、長寿命MSEなど耐用年数を改良した製品であれば8~10年が電池の交換周期となる。

蓄電池の耐用年数は、UPSを設置している空間の周囲温度に大きく影響され、周囲温度が著しく高いと、期待寿命が大きく低減する。

期待寿命と周囲温度の関係

UPSは、周囲温度25℃で使用するのを前提として、期待寿命が評価されている。周囲温度が高くなるほど寿命が短くなる特性があり、周囲温度が10℃上昇すると、寿命が半減する。

温度が低ければ電池の経年劣化を抑えられるが、周囲温度が低すぎると、放電容量が低下し本来の性能を発揮できない。

UPSを安定的に動作させるには、室温を25℃で安定させるのが重要であり、換気ファンや空調機を設置して温度管理を行うのが望ましい。蓄電池が屋外に設置されていると、冬期は周囲温度の低下により放電性能が低下し、夏期は周囲温度の上昇により寿命が低下するため、管理が困難となる。

ほこりや粉塵など、空気環境が汚れている空間では、内部配線や導体部分の絶縁不良につながるため、ほこりが飛散しないよう床面を防塵塗装すると良い。

バイパス回路の役割

蓄電池は交換周期が速く、3~5年ごとに電池を交換しなければならない。電池を交換する際も負荷側に電源が供給できるよう、バイパス回路を構築しておくのが基本となる。

電池交換中はUPSの機能が失われるため、主UPSと待機UPSを用いて系統を多重化し、主UPSを交換する際は待機UPSで保護するという方法もあるが、系統の二重化はコストの増加につながるため注意を要する。

内部バイパスと外部バイパス

常時インバーター方式は、インバータを介して負荷側に給電されているため、UPSが故障すると停電になる。24時間常時通電が求められる系統では、UPSを切り離すことができないため、大きな損害が発生する。

UPSの電源系統に故障が発生しても、UPSの内部に構築されたバイパス回路から負荷側に給電することで、負荷への給電は継続できる。内部バイパス回路にはサイリスタが組み込まれており、サイリスタスイッチング機能により、インバータからの電源切替を無瞬断で行う。

内部バイパスを用いた切替では、UPS内部が通電状態となるため、不具合部品の交換は停電しなければならない。さらに外部バイパス回路を設けることで、内部バイパス回路の電源供給を遮断し、無瞬断で故障部品を交換できる。

バイパス回路の構築により、UPSを複数接続することで冗長性を高められるが、回路が複雑となり、かつコストアップにもつながる。

UPSの機器構成

充電装置

UPS充電装置はコンバータとも呼ばれる。サイリスタ回路、フィルタ、制御回路で構成されている。制御回路には、浮動電圧設定器、均等電圧設定器、サイリスタ位相制御装置などが含まれている。

逆変換装置

インバータとも呼ばれる装置で、直流電源を交流電源に変換するための装置である。トランジスタやパワーMOSFETなどを使用して電源を変換している。

インバータトランス

インバータからの出力電圧調整、直流成分の流出防止、高調波漏えい電流抑制の機能を持ち、インバータの二次側に設置される機器である。PWM変調方式を採用している場合、平滑機能を持つコンデンサを並列接続する。

保守バイパス回路

内部バイパス回路や外部バイパス回路により、UPS内部装置の故障時の保守点検を行う。

UPSの選び方と容量計算

UPSを選定する場合、消費電力Wと皮相電力VAを算出し、どちらの数値も上回る機種を選定する。消費電力200Wのサーバ本体、皮相電力150VAのディスプレイ、2Aのディスプレイの計3台を接続した系統を、UPSで保護する場合を例として計算する。

サーバやディスプレイなど、コンデンサや半導体を数多く搭載している情報通信機器の力率は、0.6として計算すると安全である。

サーバ(200W)の計算

皮相電力は消費電力よりも大きく、消費電力と無効電力の和となる。皮相電力 = 消費電力 / 力率0.6として計算する。

  • 皮相電力 = 200 / 0.6 = 333VA
  • 有効電力 = 200W

ディスプレイ(100VA)の負荷計算

サーバの計算と違い、仕様書に皮相電力が明示されている場合、有効電力を計算する。有効電力 = 皮相電力 × 力率として計算する。

  • 皮相電力 = 150VA
  • 有効電力 = 150 × 0.6 = 90W

ディスプレイ(2A)の負荷計算

負荷に電流値のみが明示されている場合、電圧と電流の積で皮相電力を求める。皮相電力 = 電圧 × 電流となる。電圧は100Vとする。

  • 皮相電力 = 100 × 2 = 200VA
  • 有効電力 = 200 × 0.6 = 120W

皮相電力は 333 + 150 + 200 = 683VA、消費電力は 200 + 90 + 120 = 410Wとなった。

計算結果に基づき、皮相電力683VA以上、かつ消費電力410Wを十分に出力できるUPSを選定すれば良い。一例として、700VA/490WのUPSを選定すれば、過負荷で停止することはないと考えられる。

サーバとディスプレイを保護する計算を行ったが、プリンターや汎用インバータなど、始動電流や突入電流が大きな電気機器をUPSでバックアップする場合、UPSの出力に十分な注意が必要である。

大電流が流れる電気機器をUPSに接続すると、突入電流が流れた瞬間に過負荷エラーが発生し、給電停止となるおそれがある。瞬間的に大電流が流れる機器はUPSに接続せず、商用回路または発電機回路を用いると良い。

UPSの設計・選定の注意点

UPSは電動機の始動電流や突入電流、変圧器の励磁突入電流など瞬間的な大電流に対応できず、過負荷として回路を遮断してしまう可能性がある。

コピー機やプリンターなど、突入電流が大きな機器のバックアップは避けるべきであり、突入電流を繰り返し発生させることで、バッテリーの寿命が短くなるといった弊害も発生する。

近年はコピーやプリンターも高性能化が進んでおり、終了処理を実施しなければデータを消失するといった機種も存在するため、UPSのバックアップ対象として検討されることが多いが、突入電流によってCVCFやUPSが停止しないよう、十分な容量選定が重要である。

UPSの重量と構造的な対応

UPSに搭載されている蓄電池は非常に重量が大きく、10kVAクラスで400~800kgという大きな重量となる。オフィスビルにUPSを計画する場合、床の強度を特に高めた「ヘビーデューティーゾーン」というエリアに設置しなければ、床材の損傷につながり危険である。

オフィスビルににおけるヘビーデューティーゾーンは、面積1m3あたり、800~1000kgという荷重に耐えられるよう設計されるため、コンパクトタイプのUPSであれば問題なく設置できる。

蓄電池に掛かる法規制

蓄電池の消防法による規制

UPSは蓄電池を多数搭載しているため、消防法の「蓄電池設備」として規制される。UPSは防災負荷に電源を供給するものではないが、電力密度の高い蓄電池は火災を発生させるおそれがあるため、蓄電池設備として規制を受け、構造上の仕様や消火設備に関する指導の対象となる。

同一場所に設置する蓄電池容量の合計が4,800Ah・セル以上となれば、蓄電池設備として火災予防条例の規制対象として扱われる。所轄消防に対し、蓄電池設備の設置届を提出し、検査を受けて安全性を証明しなければならない。

UPSが火災予防条例によって規制される場合、点検に便利かつ火災による被害を受けない場所として、不燃材料で区画された専用の室(専用不燃室)に設置するなど、高い安全性を確保しなければならない。

UPS本体をキュービクル方式とするなど、火災予防条例に適合した製品であれば、火災予防条例における規制が緩和され、変電設備室、発電設備室、機械室、ポンプ室など、専用ではない機械室への設置が可能となる。

蓄電池を設置する室の仕様

蓄電池を専用不燃室や機械室に設置する場合、消防法や火災予防条例で規制を受けるため、いくつかを紹介する。

  • 屋外に通じる換気設備を設置する
  • 換気ダクト等の貫通部分を不燃材料で埋戻す
  • 水が侵入しない構造とする
  • 同一の室内に可燃物を設置しない
  • ガス機器またはガス管を敷設しない
  • 照明を設置する

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