変流器・零相変流器の原理・選定

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変流器(CT)

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変流器は、電流の大きさを変換するための装置で、大電流が流れる電路の計測や、保護継電器を動作させるために使用します。低圧・高圧の大電流をそのまま計測しようとすると、測定機器の絶縁を維持するために大掛かりとなってしまいます。

扱いやすい電流値に変換することによって、小型の計測器での精密な測定や、継電器の動作を行うことを目的としています。一次電流に対し、二次電流を5A以下に変成するのが一般的です。

変流器の仕組みは変圧器と同様、鉄心とコイルを用い、巻数に応じた比率の電流値を二次側に発生させるものです。変流比はCT比とも呼ばれ、400/5 と表現します。400/5のCTでは、一次側400Aまでの電流を5A以下の電流値に変換し、計測しやすい大きさとします。

200Aの流れる電路で、CT比 400/5 の変流器を用いた場合、二次側に発生する電流値は2.5Aとなります。CT比 400/5 ですから、2.5Aの電流を80倍すれば一次側に流れる電流が200Aであることがわかります。

大電流を小さな電流に変換することで、安全かつ低コストな計測・継電器動作を行うための装置が変流器です。事例として、電力メーターは「CT付」と「CT無し」があり、30A、120Aのメーターであれば直接流れる電流値を測定できますが、これ以上の電流値ではCTで小さな電流に変換して測定するのが一般的です。

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変流器の種類

零相変流器は巻線形、貫通形、分割貫通形の3種類があります。一次巻線と二次巻線をモールドしたコイルモールド形、巻線から鉄心まで全てをモールドした全モールド形が、巻線形零相変流器に区分されます。

貫通形零相変流器は、円形の鉄心の全周に二次巻線を巻き付けてモールドしたもので、一次導体を持っていません。母線やケーブルを貫通させ、一次導体と同じ役割となります。円形一体型となっているため、既設のケーブルや母線に取り付けるのは困難です。

貫通分割形零相変流器は、貫通形と同様の仕組みとなっていますが、本体が2分割された形状のため、既設のケーブルや母線に接続することが容易です。2分割された鉄心にそれぞれ二次幹線が巻かれ、それぞれをモールドしていますので、鉄心の分割面の取付によって測定精度が変化してしまうため、施工には十分な注意が必要です。

変流器の選定方法

変流器の選定は、計器用に使用するのか、保護用に使用するのかによって考え方が違います。計器用の場合は「定格電流内での電流測定」に使用するため、事故電流の測定をしたい場合でなければ、過電流定数を考えずに選定することが可能です。

電流計など、計器用の変流器を選定する場合、負荷電流の1.5倍を目安とします。負荷電流の最大値に近い数値で選定してしまうと、計器の指針が常に最大値付近を推移するようになり計器精度が悪くなりますし、アナログ計器の場合は読みづらくなります。電動機回路の場合、始動電流による影響で指針が振りきれてしまうことがあるため、負荷電流の2倍~2.5倍が読める計器を選定します。

配電系統などに設置する保護用の変流器では、短絡事故などで発生する大きな電流を使用して継電器を動作させますので、定格電流を大きく外れた電流が流れることを前提に、大きな変流することになります。よって、過電流強度や過電流定数に注意した選定をします。

過電流定数

測定する一次電流が、定格一次電流よりも大きい場合の誤差範囲(性能)を示す定数です。過電流定数が小さい場合、定格電流よりも大きな電流が流れた場合の誤差が大きくなり、正確な測定や動作が不能となります。

過電流定数は、「その定数倍までの電流であれば、計測誤差が10%となる点」を表しています。過電流定数が10の場合、n = 10 と表現します。n = 10 の過電流定数を持つ変流器は、定格一次電流の10倍までは比誤差10%以内となります。

事故電流を測定する用途でなく、定格電流値内で使用する一般計器用のCTであれば、過電流定数を大きく設定する必要はありません。過電流継電器など、過大な電流が流れることを前提とした計画では、過電流による誤差をできるだけ小さくしなければならないので、過電流定数の設定に注意します。

電気事故発生時には、定格電流の10倍を超える大電流が流れることがあります。過電流定数の設定を間違えると、10%を超える誤差が発生し、継電器が適切に動作しないおそれがあり危険です。

各種継電器と協調可能な過電流定数を持つ変流器を選定しなければ、一次側の過電流継電器が先に動作してしまうなど、保護協調が崩れ広範囲停電を引き起こすことも考えられます。

過電流強度

CTの一次側に対して定格電流を超える電流が流れたとき、機械的・電気的に耐えられる限度を示します。測定対象となるケーブルや電線類は、事故により短絡電流が流れるおそれがあるため、定常時は数百アンペアの電流が流れる系統であっても、短絡事故では数千アンペアの大電流が流れるおそれがあります。大電流に対して変流器が損傷しないよう、過電流強度が設定されています。

変流器を選定する場合、系統の短絡電流に耐える過電流強度を持った製品を選定するのが重要です。通常は定格電流の40倍を選定しますが、事故電流が大きい場合は75倍、150倍、300倍といった大電流に耐える製品を遷移しなければならないこともあります。

確度階級

確度階級とは、変流器の精度を示すものです。一般計測用として3.0級、1.0級、0.5級があり、特別精密計測に使用される標準用として0.2級、0.1級があります。数値が小さいほど精度が高くなります。

精密計測では0.5級、普通計測や継電器動作では1.0級、配電盤などの計測は1.0~3.0級の確度階級を持つ変流器を採用するのが一般的ですが、用途に応じた選定が重要です。

定格負担

変流器の二次側に接続できる、計器や保護継電器、リード線を含む電気容量の限界値を示します。ボルトアンペアで示します。定格負担を超過することはもちろん避けなければいけませんが、定格負担に対して小さ過ぎる値であっても計測誤差が発生しますので、一般的に「定格負担の1/4」より大きな負荷を接続して運用します。

例えば、2.5VAの定格負担が接続可能なCTに対し、1.0VAの電流計を接続するのは可能と思われますが、リード線の長さ分を定格負担に含まなければいけません。電線分は I^2R の計算式で消費VAが増加しますので、n/5[A] のCTを使用した計画であれば、

  • 定格負担[VA] ≧ 1.0[VA} + [電線の抵抗 × 5^2]

としてCTを選定します。二次側定格電流は5Aを選定することが多いですが、二次側の配線距離が長い場合、二次側定格電流を小さく選定すれば配線長による影響が小さくなり有利です。

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零相変流器の役割と特徴

零相変流器は、電路に地絡事故が発生した場合に、回路に流れる地絡電流を検出し、変成して地絡継電器に電流を送ります。受電点などに設置し、受変電設備全体の地絡保護に利用されています。零相変流器は一般的に貫通型が採用されており、鉄心内に三相導体を一括で通し、二次巻線をその上に巻いて磁気的な平衡をとっています。

一般の変流器と違い、零相変流器は三相導体を一括で通しています。健全な電路では零相変流器の二次側は電流が平衡しており流れることがありませんが、三相を一括で通した電路に地絡が発生した場合、零相変流器に流れる電流のバランスが崩れ、二次側に電流が発生します。

この電流のバランスの崩れを検出するのが零相変流器の役割です。零相変流器の二次側には地絡継電器などが設置され、地絡継電器を動作させるなど、電路の保護に使用されます。

変流器(CT)の二次側開放

変流器(CT)付きの計器に電流を流した状態で、二次側を開放することは厳禁です。二次側を開放すると計器に大電圧が印加され、機器が破損してしまいます。

例えば、一次側に200Aが流れている状態であれば、二次側を5アンペアに換算するといったように、電流の比率を変化させて計測しています。変流比は40です。変流器二次側には電流計しかありませんので、抵抗値は電流計の内部抵抗のみのため、ほとんどゼロと言っても良い抵抗値です。

この電路で、二次側のCTに抵抗が接続された状態を想定してみます。一次側に流れる電流200Aは変わらず、二次側の電流値も5Aのまま変わらず、変流比は40のまま推移します。ここで、CT二次側の抵抗値が変化した場合でも、二次側の電流は常に5Aの電流が流れます。CT二次側で抵抗値がどれだけ変化しても、常に5Aの電流が流れ続けます。

CTの二次側を開放すると、CT回路内に空気の絶縁抵抗(ほぼ無限大オーム)が発生したことと同じになり、この無限大オームの抵抗に5Aの電流を流す回路が構築されます。V = IRの式から考えると、V = 5 × ∞ になってしまい、「無限大オームの回路に5Aを流す」という現実的ではない回路が作られます。

CTの鉄心が飽和するという事象は、無限大の抵抗値に電流を流すため、CTの鉄心が発生可能な電圧を最大値まで使い切ってしまうことを意味します。一般的に、数千ボルトまでの電圧が変流器側に印加されますので、絶縁破壊・破損します。

CTが負荷に接続されている状態で、二次側を開放してはいけません。十分注意しましょう。

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