火災受信機の種類と仕様

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火災受信機の機能と概要

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各所に配置した感知器の信号を受信し、地区音響装置を自動的に鳴動させる機器を、火災受信機と呼ぶ。発信機の起動、消火栓の起動の信号を取り込み、火災信号として制御することもでき、自動火災報知設備の中枢装置として機能する。

火災受信機本体には、どの系統の感知器が発報したかを示す番号表示、試験のための装置、停電時での動作を補償する蓄電池などが内蔵されている。

火災の表示は手動で復旧しない限り自動復旧しないこと、2個以上の感知器が作動した時は強制的に火災確定とすることなどが決められている。

火災受信機の設置基準

火災受信機は施設の重要な防災設備であり、できる限り人がいる部屋で、視認しやすい場所に設けることとされている。防火対象物全体が事務所であれば、管理室や守衛室に火災受信機を設置する。

防火対象物が住宅であれば、管理人室に受信機を設置すると良い。管理室がない場合、共用廊下に設置し、誰もが見やすい場所に配置する。

火災受信機は取付け高さも消防法で規定されており、受信機操作部分が床から0.8m~1.5mになるように高さを決めて設置する。

警戒区域とは

警戒区域は、火災の発生した区域を識別するための最小単位を示すものである。ひとつの警戒区域は600m2以下、かつ一辺の長さを50m以下として計画する。2以上の階に渡ることは禁じられているため、各階毎に完結するように警戒区域を設定する。

P型受信機の場合、感知器が作動しても感知器各々個別には受信機表示されず、警戒区域単位で火災表示される。火災受信機には警戒区域のエリア番号が表示されるため、エリア番号を参照した上で、現地を確認する。誤報でなく本火災であれば、火種や発煙を確認の上、消火・避難活動に移行する。誤報であれば動作した感知器の作動ランプを確認し、誤報の原因を調査すると良い。

火災受信機運用の注意点

火災受信機は、火災信号を受信した瞬間から、地区ベルを鳴動させる。火災か本当かを確認するまでは地区ベルを停止させてはならない。誤報が多いの理由から、ベルを停止状態にすることは禁止されている。

重複して火災信号が発生した場合。感知器とスプリンクラーポンプの運転が同時発生、低層階と高層階の感知器が同時感知などがあった場合、本当の火災(真火災)の可能性が非常に高いと判断できる。

受信機の試験などを行った後は、連動停止スイッチや自動復旧スイッチが定常状態になっていることを確認する。試験状態になっていると、火災時の地区表示が自動復旧してしまったり、消火栓やスプリンクラーポンプが連動しなかったりするので、火災時に消防設備が作動しないことに繋がり危険である。

P型1級火災受信機

P型1級火災受信機は、比較的大規模な施設に使用する受信機である。小規模な防火対象物では5回線から、大規模では100回線を超える警戒区域をカバーでき、地区音響装置との連動、受信機と感知器をつなぐ配線の導通試験装置、発信器への確認応答装置、発信器間との電話連絡装置などが内蔵されている。

火災受信機の盤面には、地区窓という板が並んでおり、感知器が動作した部屋名称や、屋内消火栓や排煙機など、連動する消防設備の名称が記載されている。感知器が動作したり消防設備が動作した場合、それに該当する地区窓が点灯する仕組みになる。

地区音響装置

火災が発生したことを知らせる音響装置である。警報ベルや非常放送などを総称して、地区音響装置と呼ぶ。特定防火対象物など非常放送設備が導入されている場合は、感知器作動の第一報として「女声で、感知器が作動したことを知らせる」放送を行い、第二報(火災確定放送)は「男声で、火災が発生したことを知らせる」放送をすることが定められている。

蓄積機能

感知器が火災とおぼしき反応を感知しても、一定時間は動作せずに「蓄積状態」とできる機能を持つものである。火災とおぼしき反応が途絶えた場合、自動的に蓄積機能を解除し、定常状態に戻れる。

蓄積機能は誤報を防止するために有効である。感知器直下でたばこの煙が発生した場合に、その煙や熱を感知しても、すぐに地区音響鳴動へ移行しないように若干の余裕を設けることで、非火災報を軽減できる。幾らでも長くできるとわけではなく、蓄積時間は5秒~60秒までと決められている。

発信機からの火災信号があれば、自動的に蓄積状態を解除し、火災警報を発信する。発信機による火災警報は「人が火災を発見し、防火対象物内の人に対して火災を報知する」という目的であるため、発信機の押下は火災確定であるという考え方に基づきる。これは非常電話も同様である。

P型2級火災受信機

P型1級火災受信機と同様の機能を持っているが、接続できる回線数は5回線以下であり、比較的小規模な建築物でしか適用できない。導通試験装置、確認応答装置、電話連絡装置も持たなくてよいと定められている。

P型3級火災受信機

接続できる回線数は1本だけである。P型2級受信機よりも規定が緩く、火災表示の保持機能を持たず、予備電源、火災灯、地区音響装置も持っていない。共同住宅の住戸内で、ドアホンと併用する事例がある。

R型火災受信機

R型受信機は(Record-type)の頭文字を持つ火災受信機である。基本的な機能はP型1級受信機と同様であるが、感知器信号を伝送線で送り、感知器のオンオフを、中継器でデジタル信号に変換し、火災受信機に伝送する。感知器個々に受信機へ伝送することも可能で、どの感知器や発信機が作動したかを判別できるため、詳細な火災情報を表示すことで消火・避難活動の安全性を高められる。

P型受信機よりも配線数を少なくでき、配線敷設の施工コストを低減させられるため、大規模建築物に向いている。

R型受信機には、本格的な火災に移行する前の「注意表示」を行うことについての規定がなく、感知器の感度設定に関する規定もない。注意表示を行う自動火災報知設備のシステムを構築したい場合は、アナログ式火災受信機を選定する。

R型アナログ式火災受信機

個々の感知器にアドレス(番号)を設定し、その感知器が温度・煙濃度を検出して、設定した範囲によって注意警報や火災表示を行う事ができる。煙感知器の煙濃度設定では、3%を注意警報、7%で発報、13%で防火戸連動といった設定を一つの感知器でできるようになり、日常的に若干の煙が発生するおそれがある場所では発報濃度を高めに設定するの非火災報対策が取れる。

M型受信機

M型発信機から発信された火災信号を受信し、火災発生を消防機関に通報するための受信機である。

副受信機

副受信機は、防火対象物に設置された火災受信機の表示を、そのまま他の場所でも表示したい場合に使用する。防災センターや守衛室など、常時人がいる場所に上記のP我たR型の火災受信機を設置するのが原則であるが、他のフロアや場所に事務室があり、ここにも同様の火災報知を行いたい場合には副受信機を使用する。

副受信機は火災受信機の表示を一部、または全部を移報する機能しか持っておらず、単純な表示装置として使用する。地区音響の停止や試験などをする機能もなく、消防法による規制はない。しかし副受信機は火災報知の役割を担うため、所轄消防によっては副受信機を設置する場所に「非常放送の起動」「電気錠の解錠」など、付帯機能を指導する場合があるので注意が必要である。

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